豊かな自然や文化で発展しつづける多古町。移住体験ツアーレポート

多古町は、北総台地の東側に位置しており、千葉県内の町村で2番目の広さを誇る町です。人口約13,500人が暮らしています。世界への玄関口となる「成田空港」から東へ、車で約20分の距離にあります。東京駅からは高速バスで約110分の距離で、都会からもアクセスのよい場所です。
町の生活と文化を育んできた栗山川沿いでは、あじさいをはじめ四季折々の花々が楽しめるとともに、その流域には水田が広がり、美しい田園風景が広がっています。豊饒の大地から収穫される「多古米」は、皇室献上米に選ばれるなどブランド米として有名で、基幹産業である農業を支えています。
そんな多古町では、2024年11月23~24日に「多古町お試し滞在ツアー」が開催されました。

1日目にさつまいもと人参の収穫を体験し、2日目には飯盒体験&BBQをしながら移住相談ができる古民家を訪れるという1泊2日のツアーでした。午後には、栗山川と道の駅多古あじさい館でお買い物や散策をするという盛沢山な内容となりました。その中でも、2日目に訪れた古民家での様子をご紹介いたします。
成田空港が西に隣接しているため、この地域では頭上に飛んでいく飛行機がとても大きく見ることができます。この日はお天気も良く白い飛行機が映える青空の下で、多古町産の新鮮な野菜や多古町の銘柄豚「元気豚」のソーセージを味わうBBQを行いながら多古町の魅力に触れました。
お米から知った、多古町の魅力
今回このツアーに参加されていた、お子さま連れのご家族に、お話をお伺いすることができました。現在は埼玉県大宮に在住で、3人のお子さんと一緒に参加されていました。
多古町は元々知っていましたか?
元々海よりも里山への興味がありましたが、多古町を知ったのは「多古米」を食べたことがきっかけです。同時に移住の場所も探している中で、多古町でも移住体験ツアーをやっていることを知り、参加してみようと思いました。
田舎暮らしへの憧れはありますが、子どもが就職や結婚で巣立ち都会に出てしまうと、家族が離れ離れになってしまいます。将来を考えると田舎に移住することに対しては悩ましく感じますが、移住した先に仕事と暮らしが共にあることで、これからも家族が共に暮らしていける場所になることを想像できるところが良いなと感じました。
成田の知人は、家族全員が空港で働き、地元に根付いた暮らしをしています。暮らしの近くに仕事があることで、自分の家族もみんなで地元に根差していけるのは良いなと思いました。

何もないがここにある
多古町には「移住コーディネーター制度」があり、各地区に多古町の魅力発信や移住希望者と地域の橋渡しを行う相談役の方達が、さまざまな相談に応えてくれます。
その中の1人、東松崎地区で移住相談を行う古民家を運営しているのは、一般社団法人多古町古民家活用ぽんぽこ推進協議会という団体の代表並木さんです。横浜でITの専門学校の講師もしながら、多古町との二拠点生活をされています。多古町への移住について話してくださいました。
多古町への移住はどんな方に向いているでしょうか
このあたりは多古町のなかでも端の方に位置し自然が多い場所のため、田園暮らしがしたい方に向いていると思います。夜には星がとってもきれいに見えるんです。多古町を表す際には良く「何もないがここにある」という言葉で表現をしています。
また移住したい方には、地元の空き家物件を見てもらったりします。
就農したい方には、地元の農家さんを紹介もしています。
子どもの通学や、交通の便はよいですか
町中心地に住んでいれば、多古第一小学校や多古中学校なら歩いても通うことができますが、この辺りでは学校への通学には皆さんスクールバスを使っているようです。また、最近は新たな学習塾が開設されるなど、教育への手厚さも感じています。
多古町には、多古高等学校、わせがく高校の2つの高校があります。また、東に行くと匝瑳市があり高校が2校あります。また成田 に行くと高校が4校と大学もあり通うことができます。また都内へ 向かう際には、成田空港まで行くと電車もあるので不便に感じることはありません。
この古民家がある「東松崎地区」は多古町の端にあり、都心へ向かう際には成田空港まで行きますが、空港まで出てしまえば電車もバスもあり少し時間はかかりますが便も良いです。少し西にある「飯笹地区」からは、空港まで15分で行けるのでさらに便は良いです。

多少の不便さを楽しめるかどうか
「都会に疲れたから来る場所ではないのだと思っています。ここは何かを自分で生み出していくために行動することが必要なんです。何事も自分達で試行錯誤しながらみんなで学んでいく場所で、不便さを楽しめることが大事だと思っています。」
「人間の趣味って面倒なことをすることだと思っています。それが暮らしに直結するのが田舎暮らしで、趣味と実益を兼ねているようなもの。また自分で快適さも作ることができるのがいいところです。」と並木さんは語ります。
並木さん自身が、多古町に来たきっかけ
2019年にこのエリアが台風被害があった際に、炊き出しのボランティアに来たことがきっかけでした。東日本大震災の際もボランティア活動をした経験があったので協力をさせてもらいました。そこから町の方々との縁がつながり、この古民家にも出会いました。
この場所で、古民家をはじめた縁とは
元々田舎に住みたいと思ったわけではありませんでしたが、都会から人を剥がしたいという思いがありました。以前はずっとメンタルヘルスの仕事をしていましたが、その際に、世界で一番ストレスがたまるのは日本の満員電車だと知りました。その現状をどうにかしないとならない気持ちになり、そのためにはまず田舎暮らしへの移住が必要だと思いました。ただ田舎に暮らすためには、まず町や人を知ることです。気軽に遊びに来ることができる場所や、泊りに来ることができる場所が必要だと感じ、お試し移住の提供をはじめました。
この古民家は200年開けてない蔵の掃除をお手伝いしたことがきっかけで、母屋も譲り受けることになりました。

移住は大きい決断、まずは足を運んでもらうことから
移住ツアーはいつ頃から行っているのでしょうか。
多古町産業経済課では、農業体験ツアーを3年ほど前から行っています。お試し移住ツアーは昨年からスタートし2年目になります。次回は年明け1月にまた開催いたします。
また、企画振興課では、移住セミナーやモニターツアーも行っています。
こちらのサイトで次回のイベントなど情報を発信していますので、多古町に興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
https://www.town.tako.chiba.jp/ijyu/
これからの課題とは
移住は大きな決断となるため、何度も足を運んで体験していただけたらと思います。
まずは来て知ってもらって、多古町がどのような町かを知ってもらうというのが大切なことだと思います。利点ばかりではありませんが、多古町を好きになってくれて、それが移住につながっていったらうれしいです。
子育て世代へのサポートとして、「すくすくテラスたこ」 という子育て支援住宅の募集をした際には、たくさんの応募をいただき、すぐに満室となりました。移住を希望される方の要望に応えていくことがさらなる課題です。そのためには町だけではなく、民間企業とも力を合わせながらともに発展させていくことが必要だと思っています。
多古町の魅力
都内からも気軽にアクセスできる自然環境があり、江戸時代から続く「多古祇園祭」をはじめとした古くからの伝統や文化を守りつつも、圏央道の開通や成田空港の更なる機能強化などの大きな事業が予定され、さらなる成長が期待できる魅力ある町です。
旧常磐小学校をリノベーションした「TACO GLAMP THE MEXICO」というグランピング施設があり、地元の新鮮食材を活用したり、サステナブルな運営をされている施設で都内からでも気軽にリゾート気分が味わえます。他にもキャンプ場などがあり、自然を体感できる施設が点在しているので、週末に過ごす場所としてもおすすめです。
世界の玄関口である成田空港が近いこの地域は、地方からも足を運びやすく、東北や九州など遠方から来る方も多くいるようです。
昨年からスタートした移住体験ツアーですが、次の開催は1月を予定するなど継続的に行っていきます。世界への玄関口が近く、農的な暮らしもできる多古町への移住や暮らしに興味を持った方はぜひ一度訪れてみてください。
■イベント主催
多古町産業経済課 農業振興係
■協力
一般社団法人多古町古⺠家活用ぽんぽこ推進協議会
■本イベントへのお問い合わせ
千葉県多古町産業経済課 農業振興係
TEL:0479-76-5404
MAIL:nogyoshinko@town.tako.chiba.jp
■移住コーディネーター
一般社団法人多古町古⺠家活用ぽんぽこ推進協議会
千葉県香取郡多古町東松崎1988番地 万福邸
https://pompoco.life/about/
MAIL:pompoco.dan8@gmail.com