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【香取市】緑と水に囲まれ、歴史と文化が共生する町。千葉の“小江戸”で心穏やかに生きる暮らし

古くから水運で栄えた町として知られる香取市。縦横に張りめぐらされた川を小舟が行き交い、周囲には古民家が軒を連ねています。農業も盛んで、米は県内トップの産出額を誇ります。そんな自然と歴史が共生する地域で暮らす魅力は、どこにあるのでしょうか。香取市企画政策課の関 大地さんと、地域おこし協力隊として移住・定住を担当する堺 夏香さんにお聞きしました。

米の産出額は県内トップ。江戸の古民家が軒を連ねる町並みも

はじめに、香取市の特徴を簡単に教えていただけますか?

関 千葉県北東部に位置し、人口は約69,000人。茨城県と接する北部には日本一広い利根川が東西に流れ、周辺には広大な水田が広がっています。
農業は基幹産業であり、農作物の産出額は県内2位(2022年現在)。特にお米は県内トップの産出額を誇り、関東有数の米どころとして知られています。日本一の生産量を誇るマッシュルームのほか、さつまいもや梨などの生産も盛んです。

香取市の里山風景(写真:香取市提供)

関 市の北部は、古くから水運で栄えた水郷の町でもあります。それを象徴する佐原(さわら)地区には、川沿いに江戸時代以降に建てられた商家や蔵が現存し、昔ながらの町並みが残っています。千葉の“小江戸”とも呼ばれ、関東地方で初めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。

このエリアには初めて日本地図を完成させた伊能忠敬の旧宅や記念館があるほか、少し足を伸ばせば香取神宮などの歴史的な名所もあります。緑と水に囲まれ、歴史と文化が共生する町。それが、香取市の魅力です。

舟めぐり、水中花火、カヤックを楽しむ。買い物や医療も充実

水運で栄えた佐原地区は、“日本のベネチア”とも呼ばれているらしいですね。

 風情ある昔ながらの町並みに惹かれ、特に近年は外国人をはじめ多くの観光客でも賑わっています。

名物の1つが、舟めぐりです。船頭が漕ぐ小さな舟に乗って、古い商家などが立ち並ぶ景色を楽しむことができるんです。代表的な小野川周辺には、江戸時代から続く呉服屋や雑貨屋、さらにはうなぎ店なども。最近は新しいお店も増えていて、おしゃれな古民家風カフェでゆっくりすることもできます。

小舟で細い水路を行き交い、小さな橋をくぐっていく「十二橋めぐり」も人気ですね。それと、水郷筑波国定公園内にある「水郷佐原あやめパーク」も。ここでも園内を舟でめぐったり、ザリガニ釣りなどの自然体験もできます。春にはハナショウブ、夏にはハスが咲き乱れ、一面を色とりどりに染め上げる景色も圧巻です。

佐原地区、小野川沿いの風情ある町並み。近年は外国人観光客も増えているという(写真:香取市提供)
「水郷佐原あやめパーク」の園内の風景。ハナショウブが見頃を迎える5〜6月には「水郷佐原あやめ祭り」が開催される(写真:香取市提供)

「水」が地域を代表する観光資源になっていると。

 もちろん、私たち市民にとっても「水」は身近な存在です。花火大会やお祭りのときには、会場まで舟に乗って向かうんですよ。

私は東京から移住してきたんですが、驚いたのが「水郷おみがわ花火大会」でした。利根川の上空で炸裂する特大の水中花火が、もうとにかくすごくて。生まれて初めて目にした光景でした。

ほかにも、川辺ではカヤックやSUP(サップ)を楽しんだり、犬の散歩をしたりと、思いのままにのんびり過ごす市民の方々の姿をあちこちで見かけます。

「水郷おみがわ花火大会」。名物の巨大な水中花火が夜空を彩る(写真:香取市提供)

自然とともに生きる暮らしがあるんですね。買い物などの生活環境はどうですか?

関 都市と地方、利便性と自然。香取市には、その両面を持つ“ちょうどいい”立地と生活環境があると思っています。

まず、スーパーやコンビニはたくさんありますし、量販店の「ドン・キホーテ」や「ニトリ」なども生活圏内にあります。買い物に困ることはないはずです。医療の面でも、救急医療も担う県立佐原病院を中核に充実しています。

それと、交通の便です。東京方面には電車や高速バスで約90分。バスに乗れば、座って都心まで通勤することもできます。また、成田空港まで車でおよそ30分圏内にあるため、帰省や旅行にも便利でしょう。

 中にはそんな“いいとこどり”をしたような働き方を選ぶ方もいらっしゃいます。 例えば普段は成田空港で働きながら、ご自身で育てるサツマイモの植え付けや収穫時期には仕事を休み、農業に専念される方です。そんな風に兼業や副業をしたり、仕事と趣味をうまく両立されている方もいらっしゃるんです。

庭で子どもと凧揚げ、水遊び。手厚い子育て支援

堺さんは東京のご出身だそうですね。なぜ香取市に移住されたんですか?

 大きな理由の1つは、子育てでした。ここでは、子どもが自然の中でのびのびと遊べます。土いじりをしたり、虫を採ったり、用水路でドジョウを捕まえたり。近所の公園もほぼ貸切状態なので、我が子も思いっきり走り回っています。

一軒家の自宅の庭も広いので、お正月には凧(たこ)揚げをしたり、夏には水遊びをしたりと目一杯はしゃいでいますね。家の中でも縄跳びをしたりと、もう遊びたい放題ですよ。

そんなに遊び回れるほど、庭が広いんですか?

 庭では家庭菜園もやっていますし、ニワトリも飼っているんです。でも、これだけ広いのは我が家だけでなく、この地域では珍しいことではありません。東京や千葉県中心部と比べたら、家賃もずいぶん安いですからね。

庭ではほかにも、友人を大勢招いてピザ窯で一緒にピザを焼いたり、焼き芋パーティーを開いたりも。少々騒がしくても、敷地が広いのでご近所に迷惑がかかることはありません。

 子育て支援には、市を挙げて力を入れています。0歳から高校生世代までの医療費を助成しているほか、公立幼稚園と小・中学校の耐震化率、小・中学校の普通教室のエアコン設置率はともに100%に。保育所の待機児童もゼロです。

 それにプラスしてありがたいのは、学童保育です。都市部では「小4の壁」ともいわれ4年生くらいまでしか利用できないケースが多いと聞きますが、ここでは6年生まで通えます。うちは共働きなので、本当に助かっています。

子どもを大切にする町でもあるんですね。

 ほかにも市は子ども服のリユースにも取り組んでいて、不要になった服や靴、おもちゃを回収して希望者に無料で配布しているんです。これもありがたいですよね。

それ以外にも、ご近所や知人から規格外の野菜をたくさんいただくこともよくあって。このあいだも、ガソリンスタンドに行ったら大量のニンジンをいただきました。地域全体で、ご近所やママ同士で、お互いに助け合う風習が根付いているように感じます。

最大300万円の移住支援金。おためし移住で古民家に宿泊

最後に、移住を考えている人にオススメの補助や制度などがあれば教えてください。

関 1つは、移住支援金です。東京23区在住の方、東京や神奈川、埼玉にお住まいで東京に通勤されている方を対象にしたものです。単身での移住に60万円、世帯なら100万円、さらに18歳未満の方を含む場合は最大300万円を支給しています(※1)。

今年度(2024年度)から始めた「おためし移住体験」もオススメです。移住を検討されている方に一定期間住んでいただき、生活の雰囲気を味わったり、住民との交流を楽しんでいただく企画です。特徴的なのは、昔ながらの古民家に宿泊できることで、今年度は、1人1泊1,000〜2,000円でご利用いただく形で実施しました(※2)。

このほかにもさまざまな支援制度や移住関連イベントをご用意していますので、気になる方はぜひ市のホームページなどをチェックしてみてください。 便利な生活と、自然を浴びてリフレッシュする時間。そんな快適な田舎暮らしを、香取市なら満喫いただけるはずです。ぜひ移住やお引っ越しを前向きに検討いただけるとうれしいですね。

(※1)さまざまな要件があるため、詳細は市ホームページ を参照
(※2)2025年1月現在、次回の実施期間、実施内容は未定

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