成田空港 合同企業説明会・空港見学会レポート
2025年2月7日、成田国際空港株式会社が主催する、成田空港内関連企業による合同企業説明会が、幕張メッセで開催されました。コロナ化による人材不足解消の一環で、空港の円滑な運用維持のための人材不足が懸念される職種への採用支援として、2023年2月から始まり、今回で5回目の開催となります。グランドハンドリング、旅客ハンドリング、警備業など空港を支えるさまざまな職種の企業44社が参加し、過去最高の出展数となりました。
一方、参加者は就職活動をする新卒の学生や中途採用を目指す方、また外国籍や幅広い年齢層の方が訪れ、476名の来場者数となりました。
また今回の説明会では、参加者や出展企業の動向には変化もあったようです。本合同企業説明会を主催するNAAの新井さんは「今回の出展では、新たに航空機メンテナンスの会社が参加をしています。特に人手が足りていないという話を伺っていましたので。」と話します。より幅広い職種が一堂に会する説明会となったようです。
また、成田空港の一般公開されていないエリアや実際の仕事現場等を知ることができる、空港見学会が同日開催されました。今回は、成田空港での空港見学会が同時刻に行われ、バスツアーには定員を大きく上回る276人の応募者が集まり、訪れた方にとって空港で働くことをより身近に実感できる機会となったようです。



参加者から感じられた、空港で働くという意識
参加者の中には、航空業界の専門学校から来ている学生も多く、グランドハンドリング職に就きたいなど明確な目標を掲げている方も多くみられました。また、航空業界は視野に入れていなかったという方からは、今回の合同企業説明会が開催されることをきっかけに参加して各企業の話を聞き、航空業界への就職に興味を持ったという感想も聞くことができました。
この合同企業説明会が、成田空港に関連する職種が集って開催されたという特徴からか、参加者からは「空港で働きたい」「空港が好き」という意識を感じられ、出展した企業からは仕事への深い興味から自社への応募につながる期待を感じられているようでした。午前の部の終わりに、感想を伺いましたので一部をご紹介します。

NCA Japan株式会社
「わたしたちは日本で唯一の貨物専門の航空会社〈日本貨物航空株式会社〉貨物ハンドリングを行っており、専門性がとても高い会社になります。こちらは初出展ですが、成田空港で働くことが前提としてあるので、他の企業説明会にくらべやはり空港で働きたいという意識が高いと感じています。」
「基本的に新卒の方がほとんどで、成田空港でお仕事をされたい学生様が多く集まっていました。」
「入社いただいたあとの具体的な業務内容は、事務所内での貨物の書類確認、仕分け、システムへの情報登録、貨物専用機への搭載バランス計画立案などが主な業務となります。航空貨物のプロフェッショナルを目指したい方の定着率が高いお仕事です。」とNCA Japan人事チームの湊さんが語ってくれました。

株式会社JBS
「午前中はたくさんの方にお越しいただき、アンケートの結果も良好でした。学生さんが多く、成田空港に興味を持っている方が多かったです。大学生が最も多く、1年生から3年生まで幅広く参加されました。特に就職活動を控えた3年生の参加が目立ちました。また、昨年に比べて外国籍の方の参加者が増加したように感じます。」
「弊社は、グランドハンドリング業務に加えて、航空科学博物館内の『空飛ぶ学び舎ラボ』の運営という独自の取り組みを行っている点が特徴です。固定概念にとらわれない、新たなグランドハンドリング会社というのをコンセプトにしています。」
「『空飛ぶ学び舎ラボ』は、全国から修学旅行生や一般の団体様への観光施設として、将来成田空港で働いていただく方の航空人材育成や、航空教育を行うなど、観光拠点として、空港を学びの場に変えようということをコンセプトにしています。成田空港に来ることを目的化として人が集まって頂けたらと思います。学生さんたちからは、新しい、面白そうですねっという声をたくさんいただきました。新しい取り組みにワクワクを感じてもらえたり、好きだなと感じてもらえたり、空港で働くことを楽しんでもらえるような会社にしていきたいと思っています。」とグループリーダーの須賀さんが語ってくれました。

株式会社FMG
「航空旅客のグランドスタッフの説明会で、午前中の空港見学会と合わせて理解が深まり、ハンドリング会社の魅力を紹介できたと思います。また参加者については、昨年に比べて、外国籍の専門学校生が非常に増加しており、航空業界の人手不足という状況もあるので、これを次につなげていきたいと考えています。」
「エアラインとは異なる業界として、粘り強い人材を求めています。本人の努力次第で大きく成長できる環境を提供しています。」と人材開発部の野澤さんが語ってくれました。

たくさんの企業に出逢おう!
合同企業説明会では「たくさんの企業に出逢おう!」というテーマで、スタンプラリーが行われていました。1社参加するごとに、各企業オリジナルのスタンプが1つ押されます。2つ以上スタンプを集めてアンケートに答えると、成田空港オリジナルグッズのプレゼントがもらえます。
1回の説明時間は20分ほどで、1コマとなっています。午前の部は10時からスタートし、お昼までに4コマに参加することができます。午後の部は、13時からスタートし16時までに最大6コマの参加が可能です。参加者たちが効率よくたくさんの企業を回るための工夫がされています。午後からは、空港見学ツアーへ参加した方も合流し、たくさんの来場者がスタンプラリーも楽しんで参加していました。

また、それぞれでオリジナルグッズを用意するなど、自社の魅力をアピールする企業の工夫も垣間見ることができました。「ANAラインメンテナンステクニクス株式会社」では、メンテナンス業務で使用している道具をイラストにデザインが施されたトートバッグを配布していました。航空業界という専門的な分野で一般的にまだ知られていない仕事もあるため、まず知ってもらうということを課題に感じている企業も多くありました。参加者に向けて仕事の魅力や理解促進につながるような工夫を凝らしていたのが印象的でした。
参加者からの声
前回は雪のため参加の機会を失った方もいたようですが、今回は天気にも恵まれた中での開催となりました。幅広い年代の参加者が集まった中で新卒での就職を目指す学生も多く、どのブースも就活への意欲に満ちていました。説明会へ参加した動機や参加した感想をお聞きしたので一部をご紹介します。
「空港関連業界は、国際的な面が強く交通機関としての側面も含めて興味深いと感じました。また現在法学部で法律を学んでいますが、輸入品のチェックや関税に関する部分に特に興味を持ち、学んだことを活かせる可能性を感じました。」(法学部の学生、20代)
「現在、国際ビジネスやサービスサポートを学んでいます。航空会社で就職したいので説明会に参加しました。興味を持った複数の航空会社から情報を得ることができて、2-3社に興味を持ちました。この中から、次の具体的なアクションにつなげていきたいと思っています。」(航空専門学校の学生、20代)
「国際学部で学んでいるので、国際関係でグローバルな仕事を目指しています。物流や貿易の仕事にも興味があり参加しました。もともと海外就職を目指していましたが、その難しさから日本での就職に切り替えたため、遅めのスタートとなりました。ただ、就活が始まったばかりなので、このタイミングはありがたいと感じています。また興味を持った会社のほとんどが自動車免許が必須ということがわかり、具体的な課題も見つけることができました。これからがんばって取得したいと思います。」(国際学部の学生、20代)



新しい成田空港に向けて
成田空港では、これからもますます増大が見込まれる航空需要に対応して、引き続き日本の空の表玄関としての役割が果たせるよう、地域との共生・共栄の理念のもと、新滑走路の整備をはじめとする“更なる機能強化”が進められています。
本イベントにも、空港周辺自治体の魅力や移住・定住の取り組みを紹介するブースも出展し、地域と共生するという成田空港の理念が、これから空港で働く仲間となる参加者たちにも感じられるような説明会でした。

まとめ
成田空港は海外から多くのお客様が訪れる中で、スタッフのプロフェッショナルな対応、サービスが高く評価され、国際空港評価においても世界最高水準を獲得している空港です。スタッフは、成田空港で働くことへの誇りを持ち「お客様の笑顔が見たい」「お客様と喜びを分かち合いたい」という思いを胸に、日々それぞれの業務に携わっています。
合同企業説明会は、そんな成田空港を支える企業が抱える人材不足という大きな課題解決と、航空業界での就職を目指す参加者のみらいへの第一歩となったようです。ひとり一人の力が重なり合って空港運営がなりたっています。成田空港の未来を切り開く仲間になりたいと思った方はぜひ、次の機会に足を運んでみてください。
本イベントへのお問い合わせ
成田国際空港株式会社
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E-mail:es@naa.jp